徳洲会グループ リハビリテーション部会 顧問 皆川晃慶
リハDr.からのメッセージ
次世代を担う セラピストの卵に向けて
「生命だけは平等だ」という哲学のもと、若いセラピストの皆さんに活躍していただきたい。徳洲会グループ リハビリテーション部会顧問の皆川晃慶先生から、セラピストを目指す皆さんへの応援メッセージです。
最重症患者さんも絶対切り捨てない
リハビリテーションは疾患というより障害に対応していく医療であります。
私は1970年、医学部を卒業後、10年間、整形外科医として勤務し、その後、80 年に世田谷区にある350床の民間総合病院で、リハビリ科の創設に責任者として関わりました。
それ以来、都市型リハビリシステムの構築と発展に努め、その理念と活動内容を全国に発信してきました。当初は、医療関係者の間でも、リハビリは機能訓練としてしか理解されておらず、機能回復困難な重症の患者さんは適応外として切り捨てられていました。
それに対し、私と仲間たちは、リハビリとは「障害によって破綻した日常生活を再建していくすべての過程」、「最重症患者さんも絶対に切り捨てないシステムの構築」と位置付けました。その実現のためにはリハビリ専門病棟が必須で、そこにPT、OT、ST、MSWなどの専門職種を備え、リハビリ医を中心にしたチームアプローチを実践することが必要であると考えて、それを都市型リハと称しました。さらに、入院リハビリは、その患者さんにとって、いわばリハの入り口にすぎず、目標は退院後の生活の再構築・充実であって、そのためにはノーマライゼーションの理念に基づく地域づくり、都市づくりまでを視野に収めた関わりが必要であると提言してきました。そして、同じようなリハビリ専門病棟を備えて、理想のリハビリを目指す日本リハビリテーション病院・施設協会の仲間たちとともに、厚生労働省に働きかけた結果、2000年に介護保険導入と時を同じくして、回復期リハビリ病棟が制度化されたのです。
地域包括ケアシステムにリハビリ重要
私と徳洲会との出会いは1995年にさかのぼります。
縁あって千葉徳洲会病院に副院長として迎えられ、そこで都市型リハのシステムの導入を試みました。当時、常勤セラピストは不在、文字どおりゼロからの出発でしたが、院長、看護部長、事務長など病院幹部の理解と、素晴らしいスタッフに恵まれて、徳洲会グループのリハビリ部門で、指導的役割を担うまでに成長することができました。
さて、日本は世界に類をみない急速な勢いで、少子高齢化社会に突入しています。
2025年問題として一括されるなかで、地域包括ケアシステムの構築が国策として展開されていますが、そのなかでリハビリの果たす役割は極めて重要です。WHO(世界保健機関)により、ICIDF (国際障害分類初版)からICF(国際 生活機能分類)へと新たなリハビリの概念が提唱され、地域リハビリもCBR(地 域に根差したリハビリ)からCBID(地域 根ざしたインクルーシブ開発)へと発展してきました。ノーマライゼーションからソーシャルインクルージョンへと進歩した理念の意味を考え、「生命だけは平等だ」という徳洲会 の基本理念を継承しつつ、若いセラピストの皆さんが、徳洲会グループに参集され活躍されることを期待します。